『概念分析の社会学2』に執筆しました

あけましておめでとうございます。List of my publicationsを更新しました。

今年は久々に日本語で書いた論文が一気に合計5本、4冊の書籍として刊行される予定です。いずれの原稿も、脱稿あるいは初校の段階まできています。

直近では、『概念分析の社会学2』(酒井・浦野・前田・中村・小宮編、ナカニシヤ出版)の第14章、「観光における『見ること』の組織化」を執筆しています。2009年に出版された『概念分析の社会学:社会的経験と人間の科学』の続編です。

冒頭から内容を少し紹介します。


[……]社会学者にとって「見ること」とは概して所与の前提となっており、それ自体は研究主題として依然問われないままとなっている。前述のハーパー(2002)も、「見ること」を「社会」に接近するための重要な資源としてのみ位置付けており、「見ること」を社会学的な研究主題とはしていない。だが社会学が「社会とは何なのか」を研究する学問であるかぎり、「見ること」それ自体もまた研究主題とされなければならない。「見ること」は多分に社会 的行為であるからだ。本論考はこの主張を多くの視覚的要素が絡み合う「観光」の文脈に置き、活動に埋め込まれた行為としての「見ること」が持つさまざまな様式を考察する。ひとくちに「見ること」と言っても、それは「視線を特定 の対象に向ける」という活動に必ずしも限定されない。「見ること」には、たとえば「写真を撮る」ときのように視線の向け方を直接内包するものもあれば、 「一緒に歩く」ときのように「見ること」なしには成し遂げ難いものもある[……]第2節ではまず観光社会学の文脈において近年重要な概念となってい る「観光のまなざし」を検討する。第3節ではエスノグラフィックな背景を紹 介するとともに、本論考の方針について整理しておく。そして第4節において、 従来の研究枠組では十分に記述しえなかった「見ること」のエスノメソドロジー的記述を試みる。


『概念分析の社会学2:実践の社会的論理』[予告サイト]は、2016年3月刊行予定です。


前巻の出版当時、私は企業でエスノグラフィーを生業とするサラリーマンでした。その翌年、仕事を辞めて大学院に戻り、主夫と大学講師を掛け持つ生活が始まりました。

今回は私と同世代では柔道家でもある海老田さん、秋谷さんや森さんといった次世代の俊英、そして北田さんや加藤さんといった(私が修行時代にずっと読み続けてきた!)社会学の碩学が執筆陣に加わり、エスノメソドロジーに対する関心の広がりを感じます。


今年刊行予定の5本の論文は、いずれも多かれ少なかれエスノメソドロジーにおける「ワーク」研究に言及するものです。「ワーク」研究を振り返りながら、エスノメソドロジーの原則とはそもそも何であったのかを見つめ直す機会となりました。


昨秋より、次のプロジェクトもすでに動き始めています。


3月30日追記

発売日が4月30日に決定しました! ナカニシヤ出版さんより。


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